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神経を残す治療 VPT (歯髄温存療法)

虫歯が深く神経に到達している場合には基本的に感染した歯髄を取り除くことが行われます。しかし近年、マイクロスコープを用いた拡大視野での診療や後述するMTAなどを用いる事で部分的に神経を残す治療が行えるようになっています。 

私は大学卒業後に歯内療法科という神経の治療を主に行う所に勤務し、研究、教育、診療を行っていましたが大学で学生に口頭試問を行う際に必ず最初に質問していたのが歯髄はどうゆう働きをするの?という質問から始めていました。神経の治療は技術的な難易度が高くどのように確実に根管治療を行うかということを学ぶ必要がありますが、そもそもの歯髄に大切な働きがあり歯髄にアプローチするのは確実に必要があるときにするべきだというのを理解してもらいたくて必ず歯髄の働きを聞いていました。 

私が歯科医師になった頃によりも技術、材料の進化がありかつてよりも歯髄を温存できる適応が広がってきており様々な文献やセミナーでも数年前からVPT vital(生きた状態で)pulp(歯の神経を)therapy(残す治療)報告されており、当院でも数ケース良好な予後を得ています。 

抜歯における原因の三位にあたる歯根破折は神経の無い失活歯であることが主な要因であり、根管治療の際に最低限必要な切削でも破折のリスクが高まります。 

VPTでは歯髄の機能の温存や歯質の量の保存も図れるので適応であればメリットの多い治療と思われます。以前ブログで紹介した前歯の根未完成の歯での歯髄温存療法もVPTに含まれる内容で他のVPTを行った患者さんも良好な予後を経過していますがまだ経過年数の短く予後の評価を慎重に行っていくべきだと思います。 

VPTの適用は私の所属する保存学会の学術大会でもシンポジウムの中でテーマになっており興味深く聞いていましたが、適応の診断に拡大視野で歯髄に出血や性状などの評価が難しく統一された物が確立していないとのことが言われていました。私もセミナーや論文で学んで行っていますが、拡大して歯髄を観察してみると書かれている内容が伝わってきます。 

従来の根管治療のケースの方が症例数は多いのですが非常にメリットがある診療なので今後も適応のケースで患者さんのメリットがあると判断した際には提案できるように研鑽を積みたいと思います。 

なおVPTは保険適応外の治療になります。金額は33,000円(税別)、またその後の被せものも保険適応外での診療となります。 

術前レントゲンで神経付近までの虫歯があります。

  

 

術後部分的な神経のみ除去しMTAにて封鎖をしています。 

  

執筆者情報

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院長

佐藤 隆夫Sato Takao

歯科医院に行くことは勇気のいる事だと思います。 来院してくれたみなさまが笑顔で来院しやすい医院を作り、一人ひとりに適切な治療を行っていきます。

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